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連帯保証債務は相続放棄できるのか?
2023.03.19
例えば父親が亡くなったことを知り、父親の財産
である預金等のプラス財産(積極財産)と借金等
のマイナス財産(消極財債)は双方、相続の対象
となりますが
借金などがプラス財産よりも多い場合には、相続
の開始(死亡の事実)を知った日から3ヶ月以内
に全相続を放棄することができます。
そこで盲点となる、連帯保証債務について更に
深堀して解説します。
通常の借金等は通帳の引落や請求書、金銭消費貸
借契約書などで相続人が把握するに当り、債務を
知ることは困難ではない。
しかし、連帯保証債務は、書類がない場合に債務
を調べる全国銀行個人信用情報センター等の情報
機関に調査をしても、主たる債務者(実際に借入
した者)ではない為、検索情報に出てこない。
この様な場合、相続人は連帯保証債務に気付かず
プラスの財産であれば、通常の単純承認(通常の
相続)をするのが普通であると思います。
相続人が父の相続発生から3ヶ月を遠に過ぎた頃
に父が連帯保証をしてあげた主たる債務者が破産
や倒産をして借金を返済できなくなった場合には
債権者(貸している側)は連帯保証契約に基づき
亡き父の相続人に借金の返済を請求できる。
この様なケースの実務を、実際に裁判で争われた
裁判判例で考察してみます。
■最高裁判例 昭和57(オ)82 貸金等
昭和59年4月27日 最高裁判所第二小法廷 判決
概要は、連帯保証をした亡き父は、生前より定職
に付かず、ギャンブル好きで家庭内でも、いざこ
ざが絶えない生活だった。
その為、妻や子は家を出て音信不通の状態が10年
を過ぎた頃に、父は連帯保証人になった後に死亡
し、翌年に相続人である子供達に債権者から亡き
父の借金連帯保証の請求がされ、子供達は、すぐ
に相続放棄の申請をし、受理されたが、債権者側
が不服として裁判に発展したという判例です。
判決は、子供達が連帯保証債務の存在を知るまで
の間、これを認識することが著しく困難であつて
相続財産が全く存在しないと信ずるについて相当
な理由があると認められるとして、上告した債権
者を棄却しました。
■注目!上告者の意見が正しいとして判決を否定
した裁判官がいた!
本件、裁判には5人の裁判官がいたが、そのうち
一人の裁判官は判決を否定し、相続人である子供
達は連帯保証債務を引き継ぐと反対意見をした!
反対判決全文解説は、ここでは控えますが、反対
意見を見ると熟慮期間(3ヶ月)は債務等を調べ
る期間でもあり、調査が困難な場合には延長申請
もできる規定もあることなどから、本判決を認め
ると債権者(上告人/貸した側)に不測の損害を与
えるおそれがあるとして反対をしています。
ちばPMA相続サポートセンター 佐藤 浩之
過去の判例で連帯保証の事実を知ってから3ヶ月以
内であれば、放棄できると思い込まない方がいい
というのが私の印象です。
その為、常日頃から相続財産には隠れた連帯保証
債務があるのではないかと常に意識しておくべき
であり、実際に疑わしい場合には、熟慮期間を延長
し、更に放棄の判断が難しい場合には、迷うこと
なく専門の弁護士に相談して下さい。
※上記、掲載内容は投稿時点でのものです。
情報改定や法令改定等により、掲載情報が変っている
場合がありますので、ご確認をお願い致します。
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