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株式信託を利用した事業承継対策

2024.08.25

日本企業の99%を占める中小企業の現役社長が単独で自社株を保有するケースが多く、その場合、社長に万一のことがあった場合、会社の経営が中断してしまうリスクがあります。

また、現役社長が保有する株式を生前に移転(贈与)することで、節税や経営権譲渡をスムーズに行うこともできるなど、事業承継には様々な課題がある中、信託を利用した事業承継が非常に有効な理由を簡潔にマトメテお伝えします!


 


 

■3つの信託事業承継とは

 

 1. 現役社長の認知症対策

  委託者 兼 指示権者(現役社長)

  受託者(承継予定者/長男等)

  受益者(現役社長)

 

上記の信託契約を行い、信託契約後も現役社長が元気なうちは指示権を行使し、経営を仕切ることができます。

その後、万一現役社長が認知症や不慮の事故等で意識に影響が及ぶことになった際には、議決権を行使して各種の決議判断ができなくなります。

このような事態が起こった際には、信託契約の原則に帰り受託者である長男が経営議決を行使することで事業を円滑に継続することができるという仕組みです。


 

 委託者(現役社長)

 受託者(承継予定者/長男等)

 受益者(現役社長)


通常の株式生前贈与では、一般的に発行株数の過半数を超える贈与を行った時点で、現役社長の経営権が喪失してしまうとこになり、株式から得られる配当の利益も同時に失うことになります。

そこで、現役社長が保有する株式を信託対象とし、信託受益権の一部を暦年贈与で少しづつ毎年贈与すれば、株価の高い会社は株価を下げて贈与する株価操作を気にせず、生前贈与することができます。

万一、現役社長が認知症等になった際には、信託契約中に受益者変更権者を指定しておけば、現役社長に代わって暦年贈与を継続できることも可能です。


 

 委託者(現役社長)

 受託者(承継予定者/長男等)

 受益者(現役社長)


前記2.で信託受益権の贈与を受けた事業承継予定者である長男に不慮の事故で経営が難しくなる事態や、そもそも経営の才覚がない場合、途中で長男から事業承継を断れる場合も想定できます。

このような事態に備える為に信託を組成し、承継者変更が生じた場合には、受益者変更権者により受益権の変更を次の承継者へ、長男や長男の相続人の承諾を得ることなく、次男等へまとめて移動すことができます。

この場合、対価を伴わない財産権の移動として贈与税の課税対象になりますが、贈与税を払ってでも回収すべき経営受益権である場合には実行すべきでしょう。

また、長男が万一死亡した場合には、死亡当時の社長に受益権が移転する(受益者連続型)を設定しておくことで、長男の相続人から受益権を回収する手間とリスクを回避することができます。

 

 

 

執筆者:ISRコンサルティング管財 佐藤 浩之


 

上記のような株式信託を商事信託として信託銀行が商品化しているケースもありますが、高額なコストが発生する為、自社株の組成である親族内信託で株式信託をするのであれば、極力費用を抑えつつ、信託費用を経費計上し経常利益の安定化を考えましょう!

 

弊社では事業承継に関する相談から、自社株信託書を組成する司法書士の取次、個人相続対策など広範囲に渡り対応させて頂くことが可能です。

社会に貢献している経営資源の灯を絶やさず継続し、日本の発展に寄与しましょう! 


 

※上記、掲載内容は投稿時点でのものです。情報改定や法令改定等により、掲載情報が変っている場合がありますので、ご確認をお願い致します。

 

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