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相続対策で建てる賃貸アパートと戸建賃貸どちらが有利か?【アパート分析編】
2024.09.01
比較的土地を所有している地主様向けに住宅メーカー等から相続対策として提案を受けるのが賃貸アパートを建てませんか?というものです。
賃貸アパートと賃貸マンションは同じくくりとして、他の選択肢として戸建賃貸はどうなのか?
資産価値、投資価値、相続税対策、分割対策など広い視点から一般の方にも分かりやすく、まずは【アパート分析編】から簡潔に解説します。
■前提と仮定(アパート・戸建共通)
・保有資産:駐車場1億円+現金1億円(相続税評価額同様)
・現況での相続税合計
{2億円−基礎控除(3000万円+600万円×2人)÷2×30%−700万円}×2=3,340万円
・家族構成:父、母、子1人(父の相続想定)
・借地権割合60% 借家権割合一律30% 賃貸割合100%
・新築10年後の価値減却率10%
■賃貸アパート対策試算
仮定:建築費1億円 潜在総収入1,000万円 (建築メーカー提示利回10%)
【相続税の圧縮効果】
土地の相続税評価:1億円×(1−借地権割合60%×借家権割合30%×賃貸割合100%)=8,200万円
建物の相続税評価:建築費1億円×60%(固定資産税評価額減)×(1−借家権割合30%×賃貸割合100%)=4,200万円
相続税評価合計:8,200万円+4,200万円=12,400万円
(相続税評価圧縮額)2憶円−12400万円=7,600万円
相続税額:{12,400万円−基礎控除(3000万円+600万円×2人)÷2×20%−200万円}×2=1,240万円
(相続税減額) 3,340万円−1,240万円=2,100万円
【資産価値概算】
潜在収入1,000万円−空室損5%(50万円)−運営費15%(150万円)=営業純利益800万円
市場価値(収益還元法):営業純利益800万円÷相場利回7%=11,429万円
【投資価値概算】
インカム収入:営業純収入800万円×10年=8,000万円
10年後の価値:初年度市場価値 11,429万円×価値減価率10%=10,286万円
建築前の市場価値2億円(駐車場1億+現金1億)−10,286万円(10年後の価値)=9,714万円の価値損
最終損益:インカム収入8,000万円−9,714万円の価値損=▲1,714万円
【相続時分割検討】
1棟の土地建物の為、相続人が複数いる場合には共有名義による分割となる。
共有名義のデメリット
・売却、大規模修繕は全員の合意が必要
・アパートの使用や管理に共有者の話し合いが必要
・共有者の相続ごとに共有者が増加する
・アパートの現物分割ができない
執筆者:ISRコンサルティング管財 佐藤 浩之
アパート分析編を纏めると
・相続税は2,100万円の減額(得)
・資産価値は8571万円の減額(損)※2億円−資産価値11,429万円
・投資価値は▲1,714万円(損)
・分割検討はデメリットが多い
最終結果となりました。次回、戸建賃貸分析編と比較してどちらが有利なのか?答えがでます。
尚、建築メーカー提示利回り10%は間違いで、本来の利回りは土地も投資している為、営業純収益800万円÷(土地1億+建物1億)×100=4%がネット利回りとなりますので、ご注意下さい。
※上記、掲載内容は投稿時点でのものです。情報改定や法令改定等により、掲載情報が変っている場合がありますので、ご確認をお願い致します。
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