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IRR(内部収益率)の欠点

2024.10.20

IRR(インターナル リートオブリターン/内部収益率)とは、NPV(ネットプレゼントバリュー)がゼロになる収益率をいいます。


※NPV=初期投資額+将来のネット キャッシュフローの現在価値

※現在価値=将来のキャッシュフロー合計÷(1+内部収益率)t (tは投資期間のべき乗)


つまり、将来発生するであろうキャッシュフローの現在価値の合計と、そのキャッシュフローを手にするために投下した額がイコールになる収益率(IRR)です。


 

今回は、投資不動産を分析する際に用いるIRR(内部収益率)の欠点を纏めていっきにご紹介します。

■IRR(内部収益率)の7つの欠点とは

 

① IRRは、その物件に関する(デザインや立地の優位性、テナント契約リスク、売却時の流動性リスク、管理リスク)については何も反映されていない。

※カッコ内にある物件固有のポテンシャルは、将来の収益性に大きく影響する要因である。

 

② 投資プロジェクトの規模(投資額)は全く無視している。

※投資額5億の不動産と5千万円の投資不動産とでは、投資家にとって全く異なる重要な判断要因である。

 

③ 投資期間の長短が全く反映されていない。

※投資期間の長短は投資判断を下すときには重要な問題となる場合が多く、投資期間が長期になる場合、長期間の投資に耐えうる我慢強さが要求され、難しい場合には短期間の投資物件に目を向けざるえない。

 

④ 賃貸収入からのキャッシュフローと売却時のキャッシュフローとを区別していない。

※この2種類のキャッシュフローは、回収タイミングや確実性の点において、異なるリスクを有している。

近い将来のキャッシュフローは予測しやすいが、遠い将来の売却キャッシュフローの予測は困難である場合が多い。

 

⑤ キャッシュフローの時期について区別されない。

※大部分の投資家は、キャッシュフローの時期は早ければ早い方が良く、早い段階で投資資金を回収し、自分の懐に入れたがるのが常であるが、IRRはキャッシュフローの回収時期は何も教えてくれない。

 

⑥ IRR率(割引率)は毎年一定であると仮定している。

※開発中の初期投資時期のIRRとNOIが安定した時のIRRは当然違うのが現実であり、市場変動による流動性による変動にも対応していない為、確実性の違いについて何も語られない。

 

⑦ ファイナンスリスク(レバレッジリスク)の判断がされていない。

※エクイティ(自己資金による投資額)に対するIRR率は借入をすることにより、正のレバレッジの際、飛躍的に上昇するが、この内部収益率の高さに高揚し、借入リスクを無視した投資判断をする方が後を絶たない。

 

 

執筆者:ISRコンサルティング管財 佐藤 浩之

 

 

IRR(内部収益率)による投資判断は、一般的に普及しており利便性の高い投資判断基準である反面、その計算方法を暗記するだけで満足してはならない。

内部収益率の持つ数多くの限界(潜在リスク)の裏側を理解することが、IRR率の多寡より最も重要であることを強くお伝えしたい。 

 

 

 

※上記、掲載内容は投稿時点でのものです。情報改定や法令改定等により、掲載情報が変っている場合がありますので、ご確認をお願い致します。

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