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収益不動産価値算出に使うDCF法の割引率の決め方

2024.11.24

投資不動産価値の算出に用いるDCF法(ディスカウント キャッシュフロー)に適用する、将来予測されるキャッシュフロー額及び売却によるキャピタルゲイン(売却益)を現在価値に割引いて投資不動産の現在価値を算出する際に用いる割引率は、どのように設定すればいいのか?

専門家でもナカナカ答えが出ない難題にズバリ答えを解りやすく解説します。

■4つの割引率の決定方法

① 10年国債から決定する方法

不動産は通常10年程度保有します。また国債には予想インフレプレミアムが含まれているという考え方に基づいて決定するものです。

算式:10年国債率+投資不動産のリスクプレミアム

 

② 投資不動産の貸付金利から決定する方法

金融機関(貸し手)より投資家のリスクの方が高い為、貸出金利に投資不動産のプレミアムリスクを足して割引率を決定するものです。

算式:投資不動産担保ローン金利+投資不動産のリスクプレミアム

 

③ 投資家の期待利回りから決定する方法

公開されている全国の投資家統計調査に掲載されている投資家の期待利回り(IRR)をベンチマークとして割引率に適用します。

算式:投資区域の投資家期待利回(IRR)=割引率

 

④ 還元率(キャップレート)から決定する方法

還元率は、投資不動産が生み出す収入(NOI)÷購入価格で算出することができます。
割引率とキャップレートの主な違いは、収入と物件価値の増加予想です。仮に収入と物件価値が毎年同じ増加率で増えていくとすれば、次の関係となります。

割引率=キャップレート+収入と価値の予想増加率

例)7%キャップレートで購入し、収入と価値の上昇予測が3%と期待する場合のIRR(利回)は10%となる為、割引率も10%として用います。

 

 

■収入や価値の増加率や下落率はどう見るか

インフレ率で判断しますが、インフレ率は総務省が毎月発表している消費者物価指数(CPI)やGDPデフレーター(国内総生産)を参考にします。


一般的に資本主義国は経済成長するのが通常ですが、このインフレ率は当然上げ下げがある為、過去の推移から上下した要因、例えば、消費税増税やリーマンショック、コロナなどにより影響を受けます。

 

 

執筆者:ISRコンサルティング管財 佐藤 浩之

 

 

投資不動産単体のプレミアムリスクとは、流動性リスク、市場変化リスク、環境リスクなどがありますが、現実的には各リスクを数値化するのは困難です。

その為、最終的には自分が期待する利回り(リスク率含)を割引率に用いることになりますが、市場競争の原理から高い利回りを期待するということは、安い金額で購入しなければならない為、他の投資家と競合した場合には購入できないことに繋がります。

いくら緻密な分析をしても購入できなければ意味を成さない為、各割引率は指標とし期待通りにならない価格分のリスクをどのように受け入れるか(ポートフォリオ分散・運営管理・出口戦略等)という判断になります。

 

 

※上記、掲載内容は投稿時点でのものです。情報改定や法令改定等により、掲載情報が変っている場合がありますので、ご確認をお願い致します。

 

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